経結膜脱脂術での手術中の痛みをコントロールするために、当院では伝達麻酔を併用しています。
伝達麻酔というのは、神経の根元に麻酔液を注射することで神経の先から伝わる痛みをブロックする方法です。
具体的には、目の下の骨から出てくる眼窩下神経の根元に麻酔液を少量注入します。
これにより眼窩下神経が支配している下まぶたやホホの痛覚がブロックされます。
そうすると眼窩脂肪を切除するときの痛みを感じにくくなります。
痛みをとるだけなら、眼窩脂肪に直接麻酔液を注射しても同じです。
一方、眼窩下神経の伝達麻酔では目の下の皮膚に針を刺すので、たまに小さな内出血が出ることがあります。
これを手術直後の症例写真としてお見せする場合には不格好になります。
インスタ映えを重視するなら伝達麻酔はしない方がいいのですが、それでも私が伝達麻酔を行うのには理由があります。
眼窩脂肪に麻酔液を直接注射すると、脂肪がふくれます。
そうすると、脂肪のボリュームが増えて、切除すべき眼窩脂肪の適切な量がわからなくなるのです。
眼窩脂肪は取りすぎるとくぼみますし、切除量が少ないとふくらみが残存したり、短期で再発します。
経結膜脱脂術での一番のポイントは、「いかに適切な量の眼窩脂肪を切除するか」ですので、このデメリットは非常に大きいです。
そこで当院では、この脂肪に注射する麻酔薬をできるだけ減らすために、眼窩下神経への伝達麻酔を行っているというわけです。