いろいろなクリニックのホームページを見た患者さんから、「脂肪注入にはたくさんの種類があってわかりにくい!」とよく言われます。
たしかに、目の下のクマトリで併用する脂肪注入だけでも多くの種類があり、さらにクリニックごとに独自の名前をつけるため、ますます理解が難しくなります。
そんな多くの名前や種類がある脂肪注入ですが、脂肪処理(注入前の下準備)の方法で大きく2つに分けることで、理解しやすくなります。
その処理方法は、
①「不純物の除去」と②「脂肪の細粒化」です。
- ①不純物の除去
採取した脂肪には色々な不純物が混じっています。
不純物には血液、麻酔液、破壊された脂肪細胞などがあります。これらが混じったまま注入すると生着率が下がってしまいます。そこで、これらを除去するために行うのが遠心分離です。遠心分離によって不純物を分離して純度をあげます。
そうすると生着率が上がり、ぼこつきが減少します。
さらに特殊なウェイトフィルターを併用して不純物の除去率を上げたものが、当院でも採用しているコンデンスリッチファット(CRF)です。
CRFでは、かろうじて生きているだけの弱った脂肪細胞も除去できるので、さらに生着率をあげることが可能です。
不純物の除去率を低い方から並べると、下のようなイメージになります。
・採取した脂肪をそのまま使用する(不純物が多い)
↓
・遠心分離をかける(不純物が少ない)
↓
・遠心分離にさらにウェイトフィルターを併用する:CRF(不純物がかなり少ない)
- ②脂肪の細粒化
注入する脂肪は小さいほど栄養を受け取ることができるので、生着率が上がりぼこつきにくくなります。
そのために採取した脂肪の塊を細かくします。
細かくする方法として、フィルターを用いるものと、専用のカッターを用いる方法があります。
細粒化の欠点として、脂肪を細かくする過程で一部の脂肪細胞が死んでしまうことがあります。
そのため、細粒化したあと、さらに遠心分離をかけ壊死した脂肪細胞を除去することもあります。ただそうすると注入できる脂肪の量がどんどん減ってしまうことになります。逆にいうと最初から脂肪を多く採取しておく必要があります。
細粒化は、くぼみ目の上まぶたなど皮膚の薄いところなど、ぼこつきがでやすいところで行うと効果的です。
まとめ
脂肪注入の種類を決める脂肪処理の方法には、「不純物の除去」と「脂肪の細粒化」があります。
この処理方法に応じて、クリニックごとに名前をつけています。
この2種類をどの程度しているのか、という視点があれば理解しやすいと思います。
これ以外に「nanofat(ナノファット)」と呼ばれる処理方法があります。
ナノファットは、「不純物の除去」「脂肪の細粒化」とは別の処理方法ですので、またの機会にお話しします。
MIKIクリニック豊中駅前
院長 池田幹則