ブログ

  • HOME>
  • ブログ>
  • 脂肪注入、なぜ感染することがあるのか

脂肪注入、なぜ感染することがあるのか

2024.01.20

くま治療では注入を行うことも多いです。たとえば目の下の脂肪注入など。

脂肪にしてもヒアルロン酸にしても、注入治療には感染のリスクが伴います。

 

どうやって感染するのか、それには大きく2つの経路があります。

 

①皮膚経路

皮膚には常在菌がいるのですが、これはいくら消毒しても、完全に無菌状態にすることはできません。

その皮膚を通し針を刺して注入しますので、この時に皮膚の常在菌も一緒に中に入ってしまう可能性があります。この経路が脂肪注入では一番可能性があります。

 

②血流経路

血流に乗って菌がやってくることがあります。

通常血液の中は無菌ですが、ごくわずかに菌が紛れることがあります。免疫機能が正常なら紛れた菌は、血液の中の免疫細胞などによってすぐに除去され何にも問題ありません。

 

ただ体の中に血の流れが悪いところがあると、そこに菌が住み着き増殖することがあります。たとえば注入されたヒアルロン酸はそれ自身には血流がないので菌が住み着きやすいのです。

 

脂肪注入では生着すれば血流がある組織になりますので、こちらの経路は脂肪注入ではまれです。

 

①の経路による感染を防ぐために、脂肪の採取、加工、注入のそれぞれのステップで無菌操作を徹底し、術直前の抗生剤投与や術後の抗生剤内服などを行います。

 

これまで脂肪注入による感染は自分では経験したことがありませんし、他の先生の話でも聞いたことがありません。

脂肪注入による感染はありえるリスクですが、かなり可能性は低いと思われます。